日々は巡り
昔と何も変わらない自分
いや、変われなかっただけかもしれない
ただ時間だけが過ぎ去り
ただ髪ばかりが伸び
ただ届かぬアイツの影を追いかけた
何も、何も、変わらない
現状維持
「なぁ、アンタは何時になったら帰ってくるんだァ?」
呟きは空しく消えた
コンコン
「先輩入るよぉ」
ベルが入って来た
「何か辛気臭い部屋だね」
俺は何も言ってないのにベルは勝手に俺のベッドに座った
「何の用だぁ?」
「んん。何だっけ?ああ忘れた。何だっけ?」
「知るか!用がないならさっさと出ろ」
「ボスの妄想すんのにジャマだから?」
ベルはうししと小さく笑った
「はぁ!?な何言ってんだぁ」
「動揺してんのがその証拠じゃん変態さん」
「俺は変態じゃねぇ!!殺すぞガキがぁ!!」
「はっ部屋に引き籠ってるような変態に王子が負けるワケ無いじゃん?」
「前を見なよ」
ベル真っ直ぐこっちを見ていた
マエヲミナヨ―ベルの言葉をとても重く感じた
「いい加減にしなよスクアーロ。今のスクアーロをボスが見たら何て言うだろうね?」
何も言い返せなかった
何も出来ないと自分で勝手に思い込んで何もしなかった自分
ベルに何を言われても仕方なかった
ベルはツと視線をそらすと、言いたい事はそれだけと言うと部屋を出て行ってしまった
ドアの閉め方がいつもより荒々かった気がしたのは気のせいじゃないだろう
「・・・・超ダッセぇ」
アイツにこんな無様な姿はみせられない
今日は久しぶりに下に降りて皆のカオでも見てやろうか
ドアを開け階段を降りる
見慣れたリビングはいつもより眩しい気がした
「っっ!!!」
あのイスはアイツのお気に入りだった
誰か座りでもしたら死刑同然だった
だからヴァリアー隊員の中であのイスに座ってやろうと言う人物は居ない
でも誰かが座ってる
見慣れた姿
ふてぶてしい態度
威圧感のある視線
そんなバカな
俺の目はイっちまったのか
不意にベルの声が聞こえる
「ああスクアーロ思い出したんだけどね、ボス帰ってきたっぽい」
待ち焦がれた
待ち焦がれた
俺はアイツに背を向ける
暖かい何かが頬に零れ落ちたからだ
「遅ぇぞぉ」
真っ白になった頭で必死で搾り出した言葉にアイツはふと笑うと
「カスが」
と言った
間違いなくアイツだ
ヴァリアーに最強のボスが帰ってきた
今日は昨日と少しは違う様だ
俺は少しも変われてないけど
アイツもそう大して変わらないようだからどうでもよくなった
the end


